92年発表のアルバムDon't Sweat The Technique
(米Billboardチャート初登場22位、最高位Top R&B Albums 9位)
より、
湾岸戦争に従軍した兵士を描いた曲ですが、
特に目に留まる歌詞を抜粋したいと思います。

Allah is my only protection
But wait a minute, Saddam Hussein prays the same
and this is Asia, from where I came
I'm on the wrong side, so change the target
Shooting at the general; and where's the sergeant?
Blame it on John Hardy Hawkins for bringing me to America

ちょっと待てよ、
ムスリムで*アジアにルーツがある自分が、
同じアラーを信仰するサダム・フセインと敵対してるのは
おかしい、こっち側の上官に狙いを変えよう、
こりゃ全部John Hardy Hawkins(15世紀の奴隷商人)が
俺らをアメリカに連れてったせい・・・
*広義にアフリカも含んでいると思われる

it ain't no way I'm going back to war
when I don't know who or what I'm fighting for
So I wait for terrorists to attack

何のために戦ってるかわからない戦争になんか戻らない、
テロリストが来るのを待つだけ・・・

Remember Pearl Harbor? New York could be over, G
Kamikaze, strapped with bomb
No peace in the East, they want revenge for Saddam

「リメンバーパールハーバー」だって?
サダムの復讐のカミカゼでニューヨークなんか吹っ飛ぶかもな・・・


最後の「カミカゼ」とテロとの同一視については言いたいこともありますが、
それについてはこちらへ
http://satoru-kamikaze.dreamlog.jp/archives/1464306.html

9.11が自作自演であったという話もとりあえず置いといて、
9.11や、それ以降の「戦争の犠牲」に関しても予言的だし、
一般市民、特に黒人にとっての本当の敵(アメリカ政府)
をあぶり出す、本当の意味での「過激」さ。
こういうのこそヒップホップの本質、真髄だと思います。

90年代中盤以降、ラップ、ヒップホップがどんどんメジャーになっていく中で、
政治的、啓蒙的なラップというのはメインストリームでは少なくなっていったわけですが、
じゃあ9.11以降のメジャーなラッパーたちの反応はどうだったかというと、
この曲とは真逆の
「よくもニューヨークやりやがったな、アルカイダ、ビンラディンなんか殺っちまえ」
と即席ナショナリズムの残念状態。
メジャーな立場で歌詞の中ではっきりとイラク戦争は「石油のための戦争」と言及して
FUCK BUSHと言ったのは皮肉にも白人のエミネムぐらいだったと思います。
もっと最近ではLupe Fiascoなどでしょうか。

Occupy Wall Streetなどに見られる反政府、反金融資本的思想がアメリカでも広がっているし、
これからはヒップホップにも多少揺り戻しがあるかもしれませんが、
ヒップホップってこんなにカッコよかったんだなっていう。

Eric B. & Rakim(Rakim)に関しては他にもカッコいい曲はありますが、
正直最近聴き直して、これってすげえ、と再発見した次第です。

よければ、どうぞ